この世の不幸の最たるものは、他人の目から見た偽りの自分を生きてしまうこと。
あるていど歳を重ねて、究極的に感じるのはこれですね。
「自分軸」「他人軸」という言葉がありますが、「他人軸」で生きていると、私たちはどんなに成功したり、収入を得られたとしても、生の実感を感じられないようになっているんですよね。
必死で生きているのに、生きている実感を得られない。
これが辛いわけです。
でも、「他人軸」で生きている時って、なぜかそれで人気が出てしまったり。ある程度上手く行っちゃったりして、周囲から求められる事に応じているうちに、偽りの自己像が、自画像にすり替わってしまいがちなんだと思います。
その偽りの自画像が、社会的な承認を得てしまうと、がんじがらめになっちゃうんですよね。
おそろしいことですけど、やがて分からなくなるんです、本当の自分が。
生きている実感が湧かない状態というのは、そのサインだと思います。
月星座を生きてしまう私たち
有名人の方って、生年月日を公表されてる方も多いので、時事ネタで話題になる方のホロスコープを読んでみたりするんですけど、「なるほどなー」と思うことが多いです。
私たちにはそれぞれ「太陽星座」と「月星座」があります。
たぶん占い等で「太陽星座」を、自分の星座として知っている方も多いと思います。
同じように、出生時の天体の配置で「月星座」というのが決まってきます。
この月星座が表す性質は、ほぼほぼ「他人軸」と言い換えても良いんじゃないかな、と私は思っています。
「こうでなければならない」とか「こういう風に見られたい」というような感情で、あなたを「偽りの自画像」に縛りつけている鎖のような価値観が、月星座に表現されていることが多いんです。
不思議なんですけどね。
そして人は悲しいかな、この月星座の性質にひっぱられて生きてしまうんですよね。
そしてそれは、本質の自分ではないがゆえに、どこかで破綻するんです。
栄光と挫折のパターンって、ほとんどそれなんじゃないかな、とすら思えます。
この仕組みに気がつけないと、苦しいループからなかなか抜けられないんですよね。
「月の欠損」
絵描きである私が、占星術に興味を持ったきっかけは、「月の欠損」という理論です。
これは、占星術家のマドモアゼル愛先生が「月の教科書」という著書の中で提唱されているもので、これを知った時、目からウロコが落ちる思いがしました。
ざっくり言うと、人は月星座が示す性質を自分自身だと思い込んで生きてしまうんですけど、実はその性質は本質的には欠けています。欠けているからこそ、人はそれに執着してコンプレックスを持ってしまい、それが人生の苦しみや悩みの素になってしまう、という理論です。
(これは私なりの解釈なので、興味ある方はぜひ直接、本を読んでみてください。)
この理論に出会った時、自分の内奥の仕組みを、赤裸々に見せられた感じがしました。
ショックでしたね。でも図星って感じでした。
「かぐや姫の物語」
スタジオジブリの映画で「かぐや姫の物語」という作品があります。
この作品は、わかりやすく「月」と「人間」の関係を描いている作品だと思います。
(素晴らしい作品なので、よかったら見てみてくださいませ)
「かぐや姫」は竹から生まれるんですけど、おじいさんおばあさんに拾われて、すくすくと成長します。
その類まれなる美しさに気がついたおじいさんは、「かぐや姫」の幸せの為に、田舎を捨てて都に出て、高貴な方と「かぐや姫」を結婚させようと考えます。
習い事をさせたり、マナーを勉強させたりして、かぐや姫を立派な美しい女性に育てます。
やがてその噂を聞きつけた、高貴な位を持つ数々の求婚者が現れます。ついには帝(みかど)からも求愛を受け、「かぐや姫」は、この世の栄華を手に入れます。
それにも関わらず、「かぐや姫」は、都に出てからずっと生きている実感を得らずに、泣いて暮らしていました。幸せになれなかったんですね。
彼女が本当に「生きたかった自分」とは、野山をかけ回り、気の置けない仲間たちと笑い転げ、自然の恵みを全身で味わう、普通の田舎の暮らしでした。
「かぐや姫」は、本当の自分を生きることが叶わなかったことに絶望して、月に帰って行きます。
人間にとっての月星座とは、この「かぐや姫」の生き方そのものだと思います。
つまり、月星座を生きてしまうと、究極的には生の実感を得られないし、幸せになれないということです。
それにも関わらず私たちは、無意識に月に囚われて生きていってしまうんですよね。
この仕組みに気づいて、「他人軸」で生きるのをやめて、「自分軸」を意識的に生き直すことが、幸せに向かう道なのだと思います。
占星術と聞くと、ちょっと現実離れした世界を思い浮かべる方も多いのかな、と思います。
しかし、この月の解釈ひとつとっても、本当に人間の心理に対して深い気づきを与えてくれるし、人が前向きに生きる事に対して、具体的に貢献できるものだと、私は思います。
ということで、今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
興味を持ってくださった方は、ぜひご自身の月星座を調べてみてくださいね。(もちろん「星読み絵描き」にご依頼くださっても、OKですよー!)