先日、古巣岳(ふるしだけ)という山に登って来たんです。
沖縄の名護市にある山で、その周りには「三角山」「安和岳(あわだけ)」「嘉津宇岳(かつうだけ)」という、山々がそびえたっているエリアにあります。
古巣岳(ふるしだけ)は、標高391メートルの山です。
これだけ聞くと「それで山登りなの?楽勝でしょう」と思われると思います。
しかし沖縄の山は、ゴツゴツした石灰岩の岩を登って行くので、標高からは想像できないほどハードな登山になります。
全身を使って「登ったぞー!」という実感を味わえる登山になるんですね。
岩山を登りきると、そこからパッと視界が開けて、エメラルドグリーンの海が眼下に広がるんです。
去年、私はこの南国の山登りの世界を知り、それから魅了されてるんですけど、ここ一ヶ月くらいは、天候やタイミングに恵まれず、登山できずにいました。
古巣岳(ふるしだけ)は、沖縄の名峰と名高い嘉津宇岳(かつうだけ)と、連なっている山です。
前々から、登るならこの二つの山を連続登頂したいなーと、思っていました。
山の尾根づたいに歩いて、山頂から次の山頂へ行くことを「縦走(じゅうそう)」と呼ぶのですが、それをやってみたいと思っていたんです。
でもこの一ヶ月くらい、天候やタイミングに恵まれず、という言いわけをしつつ・・・笑(制作や占星術に没頭していて、インドア生活を送っていたので)
日々の運動量が、かなり減っていたんです。
だからちょっと今の体力的に、二つの山を一気に登るプランは、無茶だろうなーと考えて、今回は古巣岳(ふるしだけ)のみ登って帰ろうと思って、山登りをはじめたんです。
事前に調べて覚悟はしていたんですけど、古巣岳(ふるしだけ)はなかなかハードな岩場が連続する山で、そのキツさも含めて面白い登山になりました。
不思議な出来事
でも、不思議なことがあったんですね。
(ここまでは前フリです。なんで山の話を延々読まされているんだろう?と思った方、ここからですよー!)
見晴らしの良い、頂上らしい場所にたどりついた時。
山の頂上を示す「古巣岳(ふるしだけ)山頂」とかかれたポールを探したのですが、不思議なことに、どこにも見当たらなかったんです。
「あれ?見当たらないなー、登頂記念に写真撮りたいんだけどなー」と思いつつ、もしかしてここは山頂じゃないのか💧と、疑念も浮かび。
ウロウロしていると、さらに山の奥深くに続いていく道を発見したんです。
もしここが山頂なら、この続いているコースは、さらに標高の高い嘉津宇岳(かつうだけ)につながる道のはずだから、ここで引き返すべきだよなー、と。
「でももしかすると、このコースの先に本物の古巣岳(ふるしだけ)山頂が待っているのかもしれない」と思い、その道を進んでみることにしました。
深い森に入りしばらく歩くと、先程よりも、さらに高いピークを発見しました。
切り立った岩場を乗り越えると、素晴らしい絶景が待っていました。
「なるほど、ここが本物の山頂か!あそこで帰らなくてよかったー」と思って、頂上を示すポールを探したんですけど、やっぱり見当たらなかったんです。
キョロキョロあたりを見渡しても、どこにもないんですね、頂上を示すポールが。
「ということは、ここはまだ山頂ではないのか。古巣岳(ふるしだけ)恐るべし!」と思って、さらに続く山道を見つけて、私は歩を進めました。
そのまましばらく森の中を歩き続けているうちに、早く山頂を目指したい気持ちが、次第に薄れていきました。
その代わりに、神秘的な森の樹々の間を歩く喜びに、夢中になっていました。
どこからともなく聞こえてくる、鳥たちのさえずり。
春を告げる山の草花の、可愛らしい表情。
薫り立つような、春の森を吹き抜けていく風の匂い。
全身で今日、この山に登れている喜びを噛みしめながら。
一歩一歩、歩むこと自体を楽しんでいました。
そして、どれくらい時間が経ったでしょうか。
気がついたら私は、嘉津宇岳(かつうだけ)の山頂に到着していました。
狐につままれたような気分だったのですが、隣の山の頂上まで、尾根づたいに歩いて来ちゃってたんです。
意図せず、私は自分で無理だと思っていた、二つの山の連続登頂を、やってのけていました。
古巣岳(ふるしだけ)の山頂を示すポールが、本当にあの時なかったのか。
私が見落としただけなのか。
あるいはガジュマルに住む精霊「キジムナー」に、「あなたは運動不足だからもっと歩きなさい」と、イタズラされたのか…(笑)
理由はわからないんですけど、結果的に春の登山の喜びを、じっくり無心になって味わうことができました。
図らずも胸の中にあったことを達成できた、ということも嬉しかったんですけど。
それ以上に、山と山とをつなぐ深い森の中を歩く喜びが、とても印象に残った登山になりました。
自分の歩幅
何か新しいことをはじめようと思った時。
新しい挑戦をしようと思った時。
行動する前に、心にブレーキがかかってしまうことって、あると思うんです。
そういう時って、初めから完璧な結果を求めていたり、考えなくていい遠く先々のことまで、事前に考えてしまっていたりすると思うんですね。
でも、そこで立ち止まらずに、「やれるところまで、やってみよう」という気持ちで一歩踏み出して見たら、けっこうなんとかなるものだと思うんです。
「案ずるより産むが易し」で、自分が思ってたより、やってみたら案外すんなりと事が運んだり。
事前には想像できなかった、素敵な風景にたどり着けたり。
自分の歩幅で歩き出すと、後ろから幸運の風が不思議と吹いてきて、背中を押してくれる。
そういうものだと思うんです。
人にはそれぞれ気質というものがあるので、最初の一歩を踏み出しやすい人と、踏み出し難い人がいると思います。
占星術で言えば、直観的に動ける「火」の気質の人と、石橋を叩いて渡りたい「土」の気質の人では、やっぱり違うんです。
思い切って踏み出す一歩の重さが違うし、歩幅もそれぞれ違うと思います。
でも大事なことは結局、自分のステップで歩んでいくこと、なんだと思うんです。
自分の歩幅で進んでいくことで見えてくる景色は、やっぱり自分にとって一番ふさわしいものだし。
その速度が、一番しっくりくるものなんだと思うんです。
そして歩んでいく中で、結果よりも道のりの中にこそ、実は宝物が隠されている、ということに気がつけたら、そこに至福の扉が開くのだと思います。
道のりを楽しめるっていうのが、最高ですからね。
、、ということで、今回も最後まで読んでくれてありがとー!
新しい季節が、素敵なはじまりの季節になりますように!
Thanks!