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2020/10/21

AIWOKA ISLAND STORY 第5章

第5章「飛び魚の兄弟」

ホッパーとマールー

 

彼は続けた。

「レインボーテイルに近づけるのは、あの鳥と、飛び魚だけだよ。」

 

「飛び魚?ですか。」

 

「ああ、でも君が知ってるトビウオとは違うかもしれない。彼らは水面を跳ねながら、海を渡る。レインボーテイルの海域で遊んでる兄弟の飛び魚さ。とてもきれいな色をしてるよ。それから、彼らは歌も歌うよ。だからオレと仲良しなんだ。どきどきこのビーチにやってくる。」

 

「ちょっと話過ぎたな、期待させてしまってゴメンな、そんなわけで人間の君たちが、あの島にたどり着くことはできないんだ。忘れてくれ。」

 

そう言ってゴロタが話を切り上げようとした時、まるで見計らっていたかのように水平線の向こうから、二匹の飛び魚が水面を跳ねながら近づいてきたんだ。

僕はただただ驚いてしまった。そして飛び魚の兄弟の美しさにみとれてしまった。

 

ゴロタは笑いながら言った。

「歌を聴かれたんだな。オレの歌はすごいな。ひゃっほー! 」

それから起こったことは、今でも信じられない。僕らはゴロタが言ったように、たしかに幸運だった、本当に。

 

ゴロタは、クッキーを取り出すと、一枚ずつ、近づいてきた飛び魚の兄弟に向かって投げた。クッキーは回転しながら水面を飛びはねて、飛び魚の目の前に落ちた。

 

飛び魚たちは、クッキーをパクっとひとのみにすると、ゴロタの歌をまねして、不思議な声で歌ったんだ。

「レインボーテイル♪  レインボーテイル♪ ヒャッホーウ♪」

 

ゴロタはそれを見て言った。

「おやおや、ご機嫌だな。ホッパーたちは、腹が減ってるんだな。もしかしたら、交渉できるかもな。」

「ホッパー?」

 

「ああ、勝手に名付けてよんでるんだけど、飛び魚の兄弟の名前さ。ちょっと声が低い方がお兄ちゃんのホッパー。ちょっと高い声の方が弟のマールー。」

 

僕の目と耳には、どちらがお兄ちゃんで、どちらが弟なのか分からなかったけど、彼にははっきり違いが分かっているようだった。

 

彼は続けた。

「オレは一度だけ、レインボーテイルに行ったことがあるんだ。ホッパーの背中に乗せてもらって、海を渡った。彼らは用心深い。心を開いてる時にしか話しをさせてくれない。」

 

「お前たち、このクッキーを彼らにあげて、お願いしてみたらいい。あ、言葉じゃないよ。彼らは心を読む。心で願うんだ、いいな。」

 

ホッパーとマールーは、僕らに近づいてきて、クッキーをねだった。

ルーナはゴロタからクッキーの箱を受け取ると、ホッパーとマールーに近づいて、彼らの歌に合わせて踊りながらクッキーをあげた。

 

それはきっと、彼女なりの彼らとの会話なんだな、と僕は直感でわかった。

僕はそれを見ながら、レインボーテイルにいきたいと、心で願い続けた。

 

 

すると、ホッパーとマールーは、くるっと背中を僕らに向けて、まるで「のりなよ!」と言ってくれているかのように、尻尾を左右にパタパタ振ってくれたんだ。

 

ゴロタは笑いながら言った。

お前たちは運がいい。乗せてくれるってさ。さぁ、レインボーテイルに行くか行かないかは、お前たちが決めな。オレは責任はとれないからな。」

僕とルーナは目を合わせて、うなずいた。迷いはなかった。

 

「行こう!」

「うん!」

 

それから僕らは、ホッパーとマールーの背中に乗って、海を渡ったんだ。

海賊たちも渡れなかった海を。

 

僕らを背中に乗せたホッパーとマールーは、水しぶきを上げて、レインボーテイルに向かった。

 

彼らはすごいスピードで、水面を飛び跳ねるように進むから、僕は振り落とされないか心配で、内心ずっと冷や冷やしていたんだけど、ルーナは彼らが水面を飛び跳ねるたびに歓声を上げて、ずっと楽しそうに笑っていた。

水平線の向こうに見えていた、ちいさな島の影は、少しすると、僕らの目にもはっきりと島の形になり、やがてまるで半分に切った、アボカドのような姿になってあらわれた。

 

ホッパーとマールーは、島の周りを回ってから、僕らが降りられそうな場所を探してくれた。

 

「レインボーテイル♪ レインボーテイル♪」

彼らの歌に送り出されるように、僕らはレインボーテイルの砂浜に足を踏み入れた。

僕らはとうとう、あの鳥がすむという島に到着したのだった。

アイオカアイランドストーリー|第6章「レインボーテイル」

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