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2017-06-11

びーとと樹のおじいさん(第1話)

ずっとずっと南の海の上に、星のかたちをした島がありました。

その島は、ちずにはのっていない島。

海の真ん中にぽつんと浮かんだ、その島には

どうやら、ひこうきやふねでは行けないのです。

 

今日のお話は、そんな不思議な島の、樹のおじいさんのお話です。

 

樹のおじいさん

朝日がのぼる丘の上に、大きな樹が一本生えていました。

大きな樹の幹には、たくさんの生き物が巣を作って生活していました。

幹の下の方には、小さなアリたちが巣を作り、真ん中あたりには、シマリスが巣を作り、葉っぱが生い茂る上の方には、ムクドリが巣を作って生活をしていました。

地球が何回まわったのかわからないくらい長い長い時間、雨の日も風の日もずっとその場所に立って、大きな樹は、たくさんの家族を見守って来ました。

彼らが安心して暮らせるように、木陰を作ったり、風から守ったり。

大きな樹はそんな仕事が、とても気に入っていました。

 

でも、樹の幹の内側は朽ちて、ぼろぼろになっていました。

長い年月の中で、たくさんの生き物が樹の幹を住まいにして、新しい命を育てていきました。

大きな樹は、そのたびに少しづつ、自分の体を生き物たちのために使ってきたので、立派に太く大きくなった外見とは裏腹に、もうその場所に立っているのが精いっぱいでした。

 

それでも、大きな樹がその場所に立っていたのは、ひとつだけ心に残ったことがあったからです。

樹はずっと、ある人を待ってその場所に立っていたのでした。

 

夏の始まりのある朝。

大きな樹が太陽の光を浴びてあくびをしていると、なにやら見たことのない小さな子が、目の前に立っていました。

小さな子は手のひらを幹に当てると、話かけてきました。

「こんにちは、僕はびーと。てるてるぼうずの妖精だよ。」

大きな樹は答えました。

「こんにちは。おやおや珍しいね。お前さんは、私と話しができるのかい?」

 

びーとはいいました。

「うん。あなたの名前はなんていうの?」

大きな樹はこう言いました。

「名前か。懐かしいのう。お前さんたちの世界で言うような名前はないのじゃよ。わしは樹じゃからな。」

『ただ、むかしむかし、お前さんと同じように話ができる人間の子がひとりおってな、その子に「樹のおじいさん」と呼ばれておったのう』

 

 

 

樹のおじいさんの人生

「わしは空を飛んで、この場所にやって来たんじゃよ。」

樹のおじいさんはそう言うと、遠い遠い昔、この丘にやって来た時の話をはじめました。

エメラルドみたいに輝くひとつぶの小さな種だった頃、おじいさんは一匹の大きな鳥に運ばれてこの地にやって来ました。

「最初はこわくてのう、目を開けられなかったのじゃが、勇気を出して目を開くと、空から島の全体が見えたんじゃよ。そして美しい海が見えた。」

大きな鳥は小さな種をくちばしにくわえて運んで来て、この丘にやってくると、種を土の中に隠しました。

冬の間の蓄えにするつもりだったのでしょう。でも、大きな鳥はそのことを忘れてしまいました。

「わしはとてもラッキーじゃったよ。」

 

こうして小さな種は掘りかえされることなく、温かい土の中で冬を過ごすことができました。

やがて春がきて、小さな種は芽を土の上に出して、太陽の光をいっぱい浴びてすくすくと育ちました。

 

 

「この丘は日当たりがよくてね、背伸びをしてあくびをして、太陽の光をいっぱいに浴びて、わしはどんどん大きくなったんじゃ。」

 

「太陽の光を浴びると、全身に光の粒がかけ巡って、気持ち良かったのう。」

▶︎続き【びーとと大きな樹(第2話)】


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コメント2件

  • エンジェライト より:

    こんにちは(*^^*)エンジェライトです。
    いい色です❤
    心が すーって 吸い寄せられ
    心地良い空気感になるんです。
    涙が出そうな位 癒される感覚の絵もあり
    モトッチさんの絵 言葉温かいです。
    ありがとうございます❤

    • motocchi より:

      エンジェライトさん、メッセージありがとうございます!
      読んでいただけてとても嬉しいです
      新緑の季節に描いていたこともあって、色味をグリーンで揃えてみました。
      次回作もお楽しみにー♪

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